ドライバーが吹き上がる直接的な原因はバックスピン量の多さ
ドライバーについてはこれまで構え方やボールの位置、ティーアップの高さ、アッパーブローで打つべきか?払い打つべきか?、体重移動を意識するか、しないか?といったことについてご紹介してきました。
今回は、ドライバーが吹き上がる原因とその直し方について見てゆきたいと思います。
目次
ボールが吹き上がる直接的な原因はバックスピン量の多さ
ドライバーで打ったボールが吹き上がる直接的な原因は過剰なバックスピンです。
ドライバーが飛ばない5つの原因と1つの理由とは?でもご紹介しましたが、女子プロと男子アマチュアのドライバーショットを比較すると、男子アマチュアの方がバックスピン量が多くなる傾向があります。
下記は女子プロと男子アマチュアを比較した(ドライバーの)データになります。
ヘッド |
ボール 初速 |
打ち出し角 | スピン (回転) |
キャリー | トータル 飛距離 |
|
女子プロ | 42.9 m/s | 62 m/s | 14度 | 2,500 | 234.5y | 250.5y |
男子アマチュア | 45 m/s | 60.75 m/s | 12度 | 4,000 | 218.1y | 229.7y |
同じようなヘッドスピードでも250ヤード飛ばす女子プロとアマの差
これを見ると女子プロのドライバーショットのバックスピン量が2,500回転なのに対して、男子アマチュアはその1.6倍にあたる4,000回転であることがわかります。
大きなミスをした時を除くと、女子プロのドライバーショットが吹き上がることは滅多にありませんが、それはバックスピン量が少ないためです。
反対に男子アマチュアはバックスピン量が多すぎるために、ボールが吹き上がってしまい、結果的に何十ヤードという飛距離を失っています。(上記のデータの場合)
上記のデータですが、ヘッドスピードは男子アマチュアの方がむしろ速いわけですが、飛距離では女子プロに劣っています。
その要因の1つは「バックスピンの多さ」なのです。
もし、バックスピン量を減らすことができれば、ボールは吹き上がらなくなりますし、キャリーもランも増えます。
ただ、バックスピンは減らせば減らすほど良いかと言うと、そうではなくて、バックスピンが減り過ぎると、今度はショットの滞空時間が減って、ボールがすぐに地面に落ちてしまうため、結果的に飛距離をロスしてしまいます。
ですので、適度なバックスピン量まで落とすということが吹き上がるショットを改善するためには大事なポイントになってきます。
バックスピンが増える5つの原因と修正方法
じゃあ、バックスピンが必要以上に増えてしまう原因は何でしょうか?
この原因ですが、5つあります。
1)ヘッドの入射角
1つ目がヘッドの入射角です。
入射角とは、インパクトでヘッドがボールに対してどの程度の角度で入ってきたかを示す数値になります。
この数値がマイナスになるほど、ヘッドは上から入ってきていることになります。反対にこの数値がプラスになるほど、ヘッドは下から上に向かって入ってきていることになります。
ちなみに、入射角がゼロの場合は、ヘッドがボールの真横から水平に入ってきているということになります。
この入射角がマイナスになるほど、つまり、ヘッドが上から下に向かって入るほど、バックスピン量が増えやすくなります。(ショットが吹き上がりやすくなります)
下記はトラックマン社が発表している女子プロ(LPGAツアー)の入射角のデータです。(※ドライバーのデータです)
女子プロ (LPGAツアー) |
|
入射角 | +3.0度 |
ヘッドスピード | 42 m/s |
打ち出し角 | 13.2度 |
スピン量 | 2,611rpm |
キャリー | 218ヤード |
入射角を見ていただくと、+3度になっているのがわかります。これはヘッドが若干下から入ってきていることを示しています。
言い換えると、女子プロはややアッパーブローでドライバーを打っているということになります。
実は、男子プロの場合、あえて、ダウンブロー気味に、つまり、若干ヘッドを上から入れるような打ち方をする人もいます。
何故そんなことをするのかというと、バックスピンを増やしてショットの方向性を安定させるためだと思います。
バックスピン量を減らすとボールは飛びますが、その分、コントロールが落ちます。
十分な飛距離の出る男子プロの場合は、飛距離よりもコントロールが試合で勝つためには必要になってくることが多く、そのためにややダウンブロー気味にドライバーを打っている可能性があります。
ボールが吹き上がるという話に戻しますが・・
もし、ヘッドを上から入れ過ぎている場合、バックスピンは増えやすくなり、ボールも吹き上がりやすくなります。
これを改善するためには、ボールを横から払い打つようにすることだと思います。
ボールの横っ面を打つような、そんな意識でヘッドをインパクトの前後で、より水平に動かしてゆきます。
ゴルフの場合、ボールは自分の足元にあるので、つい、クラブを上から振り下ろしたくなるのですが、それをやってしまうと、バックスピンが増えてボールは吹き上がりやすくなります。
それを直すには、ボールを真横から払い打つような意識に変える必要があります。
ちなみに、女子プロのようにアッパーブローで打つことで、さらにバックスピン量を減らすことができます。
ですので、若干アッパーブローで打つのも良い方法かも知れません。
ただ、ボールが吹き上がることが多いという人の場合、スライスのミスも多いのではないかなと思います。
そういった方がいきなりアッパーブローで打とうとすると、フェースが開いてスライスしたり、振り遅れてしまいやすくなることがあります。
ですので、その場合は最初はボールを横から払い打つ意識にしてみるといいかも知れません。
その後で、ややアッパーブローで打つ方法を試してみるといいかと思います。
ドライバーの入射角についてですが、ドライバー、アイアンの入射角のデータ。プロの入射角はどの位か?にてより詳しくご紹介しています。
2)スイングの軌道
バックスピンが増える理由、ボールが吹き上がる理由ですが、スイングの軌道が関係している場合もあります。
具体的にはアウトサイド・インの軌道で振っていると、バックスピン量が多くなります。
アウトサイド・インとは、上の図のようにダウンスイングでクラブヘッドが飛球線の外側から降りてきてボールに当たり、その後は飛球線の内側に抜けてゆくことを言います。
このようにスイングすると、どうしてもヘッドが上から降りてきて、入射角がマイナスになり、結果的にバックスピン量が必要以上に増えてしまう・・ということが多いです。
アウトサイド・インのスイングですが、このスイング軌道で打つと、ボールは左に真っすぐに飛ぶ引っ掛けになるか、フェースがヘッドの軌道に対して少しでも開いていた場合は、スライスが出やすくなります。
スライスが出た場合ですが、右に打ちたくないので、さらに左に振り抜きたくなり、スイングの軌道はさらにアウトサイド・インになってしまう・・ということがよくあります。
でもそれだとボールは左に真っすぐに飛んでゆきます。
そこで、多くの方は右を向きます。ボールを真っすぐに打ち出すため、です。
ただ、これは実際は引っ掛けです。右を向いているわけなので。
このように右を向いて、左に振り抜くとボールが真っすぐに飛ぶことがありますが、ボールは吹き上がりやすくなります。
ヘッドがどうしても上から入りやすいためです。
この場合ですが、まず、右を向くのをやめて、スイングの軌道をインサイド・インに直してあげる必要があります。
ただ、フェースがスイング中に開く癖のある方の場合、スクエアに構えて、インサイド・インで打とうとすると、スライスが出ると思います。
この場合ですが、構える向きとスイングの軌道を修正するのと同時にフェースが開いてしまう問題も修正してゆく必要があります。
具体的な方法については、スライスの直し方編にて色々とご紹介していますので、よかったらそちらを参照ください。
また、フェースが開く場合ですが、グリップの握り方に問題があるケースが非常に多いです。グリップの握り方についてはゴルフ基礎編のグリップのコーナーにて詳しくご紹介していますので、よかったらそちらを参照ください。
3)ティーアップの高さ
ティーアップの高さですが、低めのティーアップだとバックスピンが増えやすく、ボールが吹き上がる原因になることがあります。
その場合は、ボールの1/2がヘッドから出る高さのティーアップにして、ボールをフェースの中央か、または、それよりも若干上で打つようにすると、吹き上がる問題が改善することがあります。
(下の図)ドライバーのフェースの中央よりも若干上で打つというのもスピン量を抑えるよい方法です。
4)ボールの位置
ボールの位置も大事なポイントです。
具体的には、ボールを左に置きすぎてしまうと、ボールが吹き上がりやすくなります。
ドライバーのボールの位置については、【ドライバーのボールの位置】ボールを「ここ」に置くとうまくいくにてご紹介しましたが、色々な考え方があります。
左足かかと線上がいいという考え方もありますし、もっと右に置いた方がいいという考え方もあります。
ですので、1つの正解はないわけですが、ただ、基本的な考え方としては、ボールを左に置けば置くほどスイングの軌道がアウトサイド・インになりやすく、反対にボールを右に置けば置くほどスイングの軌道がインサイド・アウトになりやすくなります。
先ほどもご紹介した通り、アウトサイド・インの軌道はバックスピン量を増やしますので、ショットの吹き上がりを直す場合は、ボールを左に置きすぎていないかどうか確認していただくといいと思いますし、今の位置よりも少し右に置いて吹き上がりが改善するかどうか試してみるのもいいかも知れません。
1つの目安としては、左足かかと線上よりも左にある場合は、ボールを左に置きすぎている可能性があります。
また、人によっては左足かかと線上でも(その人にとっては)左過ぎるということもありますので、1つの考え方(左足かかと線上がいい・・など)だけではなく、色々な位置を試してみるのもいいと思います。
5)ロフト角は関係あるか?
ドライバーで打ったボールが吹き上がると、つい、ロフト角がさらに少ないドライバーが欲しくなったりします。
ボールの弾道の高さを抑えるためです。
ただ、よほど特殊なドライバー(ロフト角が非常に大きいなど)ではない限り、ロフト角が原因でボールが吹き上がることはないと思います。
勿論、ロフト角が少ないドライバーに買い替えることでボールの弾道の高さを抑えることもできるのですが、それでは根本的な原因が改善されないため、飛距離は思ったより伸びなかったりします。
これまでご紹介させていただいたようなボールが吹き上がる原因を見つけて、それを直した場合、飛距離は少しではなく、大きく伸びることが多いです。
ですので、ロフト角が少ないドライバーに買い替える前にまず、上記でご紹介させていただいたような問題、原因がないかどうか、チェックしていただくといいと思います。
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↑僕も実践してみました。その上達法やゴルフ理論の感想について書いてみました。一度ご覧になってみてください。